恋愛零度。

「……ちょっと、友達とおしゃべりしてて遅くなっただけだよ」

「だったらなんで電話に出なかったの。出られない理由があったんじゃないの?」

「うるさいな。学校だったから出なかったの!」

私は苛立って、思わず声を荒げた。言ってしまってから、はっと気づいた。

お母さんに対して、大声をあげたのは、初めてだった。

「真白……」

怒りを増した低い声に、私はビクッと肩を縮める。

だけど無視して、私はくるりと背を向けた。

「散歩、行ってくる」

「あっ、待ちなさいっ」

お母さんの声にも振り向かずに、バタンと思いきりドアを閉めた。
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