恋愛零度。

「ねえ、ところでさ」

由良くんがハムカツサンドのビニールを破りながらつぶやく。

「なんか草陰から視線を感じるんだけど、気のせいかな?」

「え?」

視線の先を見ると、そこにはーー遠目からこちらをガン見している2人の姿が。

「三好さんと渡辺さん……!?な、なにしてるの、そんなところで」

「バレちゃったねー」

可愛らしく言って、渡辺さんがひょこっと顔を出す。

「ちょっと後つけてみ……あっいや、今日天気いいし外で食べようかなーって思ったりして」

三好さんは、珍しく緊張している様子。

……いま、思いっきり後つけたって言いましたよね。

「そんなところで見てないでこっちきなよ、2人とも」

由良くんがにこにこと手招きする。

「なんか、ごめんねー邪魔しちゃって」

三好さんが言って、

「オレは可愛い女の子が増えて嬉しいよ?」

さらりとチャラい発言で返す由良くん。

やっぱり苦手だ、この人……。

2人が来てくれたことに、私はひそかに感謝した。

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