恋愛零度。
*
静かだった私のお気に入りの場所が、なんだか急に、人口密度が増えた。
もはや、穴場でもなんでもない。
「すげー。千夏ちゃん、弁当自分で作ってるんだ?」
由良くんが三好さんのお弁当を覗き込んで目を輝かせる。
三好さんのお弁当は、ハート型のウインナーやプチトマトなどで可愛らしく盛り付けられている。
私は三好さんの意外な女子力の高さに内心驚いていた。
ダイエット中だという渡辺さんは、こぢんまりとした入れ物にサラダだけ。
なんか2人ともちゃんと「女子」してて、感心してしまう。
それに比べて私は、こんなときに限ってシュウマイオンリー……お母さんを恨みたくなった。
「うち、両親共働きだから。朝練もあるから大変だし」
三好さんが照れたように笑って言う。
「え、朝練あるのに作ってんの?何時起き?」
「5時起きだよ」
「まじ?すげえ、尊敬する」