恋愛零度。



放課後。

「ダブルデート?」

自販機の横で、桐生くんがカフェオレを飲みながら、キョトンとした顔を向ける。

「うん……三好さんの提案で……」

三好さんが協力してほしいと言っていたのは、このことだったのだ。

それにしても、なんで誘うのが私……?

「三好さんが由良をねー。まあ、薄々そうかなとは思ってたけど」

と桐生くんはあっさりそう言ってのけて、続ける。

「で、そういう真白は、全然乗り気じゃなさそうだけど?」

私は「う……」と言葉に詰まる。

「ぶっちゃけ、由良のこと苦手でしょ」

「……うん」

完全にバレてました。

「だよなー。思いっきり顔に出てたもん。あいつはナルシストだから、たぶん気づいてないけど」

そして三好さんは、浮かれてたから絶対に気づいていなかったけど。むしろ気づいててこんなこと頼んでいるとしたら、それは完璧に嫌がらせだ。

「あいつ、べつに悪いやつじゃないんだよ。ただちょっと、適当で女好きなだけで」

「ダメじゃん、それ」

きっと、電話がかかってきたのも、女の子なんだろうな。それに、気にして見てみれば、普通に女の子とベタベタしてるのがわかる。

……わざわざ言わなくたって、三好さんは知ってると思うけど。

「まあ、友達としてはおススメするけどね」

と桐生くんは、あまりフォローになっていないことを言う。

「で、どうする?真白が嫌なら、この話はナシだろ」

「…………」


そっか、私次第なんだ。



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