恋愛零度。
*
放課後。
「ダブルデート?」
自販機の横で、桐生くんがカフェオレを飲みながら、キョトンとした顔を向ける。
「うん……三好さんの提案で……」
三好さんが協力してほしいと言っていたのは、このことだったのだ。
それにしても、なんで誘うのが私……?
「三好さんが由良をねー。まあ、薄々そうかなとは思ってたけど」
と桐生くんはあっさりそう言ってのけて、続ける。
「で、そういう真白は、全然乗り気じゃなさそうだけど?」
私は「う……」と言葉に詰まる。
「ぶっちゃけ、由良のこと苦手でしょ」
「……うん」
完全にバレてました。
「だよなー。思いっきり顔に出てたもん。あいつはナルシストだから、たぶん気づいてないけど」
そして三好さんは、浮かれてたから絶対に気づいていなかったけど。むしろ気づいててこんなこと頼んでいるとしたら、それは完璧に嫌がらせだ。
「あいつ、べつに悪いやつじゃないんだよ。ただちょっと、適当で女好きなだけで」
「ダメじゃん、それ」
きっと、電話がかかってきたのも、女の子なんだろうな。それに、気にして見てみれば、普通に女の子とベタベタしてるのがわかる。
……わざわざ言わなくたって、三好さんは知ってると思うけど。
「まあ、友達としてはおススメするけどね」
と桐生くんは、あまりフォローになっていないことを言う。
「で、どうする?真白が嫌なら、この話はナシだろ」
「…………」
そっか、私次第なんだ。