恋愛零度。
*
どうしよう。
「着ていく服がない……」
クローゼットの中を見て、私は絶望した。
ほとんどが部屋着、防寒具、中学から使っている無地のシャツとか、そんなのばかりで、おしゃれさのかけらも見当たらない。
普通の女子高生のファッションがわからない……!
危機を感じた私は、近所の『ファッションセンターしましま』にダッシュした。街中のおしゃれなショッピングセンターにひとりで乗り込む勇気は、なかった。
……が、そこでもなにを選んでいいかわからなくて。思いきって、近くにいた店員さんに声をかけてみた。
「デートに着ていく服を選んでください……!」
まさか、私の人生で、こんなセリフを言う日がくるとは。
羞恥心でいっぱいで一刻も早くその場から消えたい私に、
「そういうことなら、わたしにお任せください!」
と店員さんは目を輝かせて応えてくれた。