恋愛零度。



どうしよう。

「着ていく服がない……」

クローゼットの中を見て、私は絶望した。

ほとんどが部屋着、防寒具、中学から使っている無地のシャツとか、そんなのばかりで、おしゃれさのかけらも見当たらない。

普通の女子高生のファッションがわからない……!

危機を感じた私は、近所の『ファッションセンターしましま』にダッシュした。街中のおしゃれなショッピングセンターにひとりで乗り込む勇気は、なかった。

……が、そこでもなにを選んでいいかわからなくて。思いきって、近くにいた店員さんに声をかけてみた。

「デートに着ていく服を選んでください……!」

まさか、私の人生で、こんなセリフを言う日がくるとは。

羞恥心でいっぱいで一刻も早くその場から消えたい私に、

「そういうことなら、わたしにお任せください!」

と店員さんは目を輝かせて応えてくれた。
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