オトナの事情。






「…ユキ、お前、今幸せなんだと思ってたよ。」




ユウジに見せたその歌詞は、そんな気持ちを込めて書いた。






「…いや、幸せだよ。ちゃんと。でもさ、それが形に出来るかどうかって、別じゃない?俺ら、もういい歳なんだし。」




そう言って俺は、読んでいた悠二の書いた方の詩を掲げて見せた。


こっちは、コッテコテのウェディングソングになりそうだ。




「結婚、すんの?」



尋ねれば、ムリムリ、なんて笑う。




「だって、先輩、誰も結婚しねえじゃん。先越せないって。」


「だよな~。」




タレントの恋愛をオープンにしたがらない事務所カラーのせいか、デカイ交際報道出してるのだって俺くらいだ。





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