オトナの事情。





「キャー!見ちゃダメ!」



そんな声が聞こえてきて、ここが楽屋だったことを思い出す。


「あ、ごめん、ちょっと外出るよ」


「いいよいいよ、今廊下、スタッフでごった返してるだろうし。」




気付くのおせーよ、なんて笑われて、謝るしかない。




きっとメンバーにはバレてるんだ。こんな歌作るってことは、俺とルナが、手放しに喜べる関係ではないこと。



『うふふ。今日はユキ君の好きなもの作って待っててあげる。』


「え、でもこの後俺 健ちゃんのラジオだから、遅くなるよ?」


『いいよ、私明日早くないし!』


「んー…じゃあハンバーグ」


『わー、子どもみたい~』




俺の答えが分かってて聞いたくせに、ケラケラと馬鹿にしたように笑うから、この野郎、とルナにデコピンをした。



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