オトナの事情。
プロデューサーは、その驚きが、苛立ちの方に繋がってしまったらしい。
そういう奴、いるよな。
「デートも、良いですねえ!…うーん、でも、ね? コウサカさんの歳を考えると…恋人くらいじゃ、ねえ。28歳でしたか?そろそろ、結婚もおかしくないくらいですよね。」
ああ、くそ。
タレントの足元見やがって。
狭間ルナの強気な態度に、ギャフンと言わせてやりたくなったんだろう。
俺は28でも、コイツは20だぞ?
交際報道くらいならまだしも、結婚はないだろう。
仕方ない、助け船を出すか。
「あー、そうなんですよね。そろそろ結婚考えないと、とは思うんですよね…でも、俺たち今回が共演初めてで、ついこの間お会いしたばかりですし。このスピードで結婚なんて、さすがに怪しまれますよ、逆に。」
俺の言葉にプロデューサーも少し冷静になったのか、黙ってしまう。
じゃあ、交際報道だな、という場の空気を一気にぶち壊した狭間ルナの発言を、俺は生涯忘れることはないだろう。
『じゃ、同棲くらいにしておきましょうか。コーサカさんウチ来ます?
…あ、嫌ですか?結構広いですよ?』