オトナの事情。
同棲生活も半年以上経って、11月に入った。
「ただいまー…」
広い家は、2人で暮らすのには寒いな。
いつの間にかすっかり言い慣れた帰宅の報告をしながら、そんなことを考えていた時。
『ユキ君!おかえり~!』
「…それは、突っ込んだ方が良いんだよね?」
リビングの机が、コタツになっていた。
『そろそろかな~って思って出したの!ほら、あったかいよ、ユキ君も入りなよー』
いつも座っているソファを背もたれにして、地面に座った、少し小さめのルナは、自分の隣をバンバンと叩く。
コタツか。
実家にはあったけど、一人暮らしを始めてからは入ってないな。
「…あ~、このぬくぬくはダメだね。」
久しぶりのその感覚に、心まで一気に温まる。
『ねぇ~…人間がダメになるよねぇ…』
もう既にまったりモードのルナは、日本人でよかった~なんて言いながらみかんを剥き始める。