オトナの事情。
…いやいやいや、ちょっと待てよ!
なんで俺が早とちりして恥ずかしいみたいになってんだよ!俺は間違ってない!
「…それでもやっぱりそういう問題じゃ『それじゃああのクソ豚プロデューサー野郎の思う壺じゃん!』」
どうも人の話を最後まで聞けないらしいコイツの癖への苛立ちと、それを超える口の悪さへの衝撃と。
もう、ダメだ…
『あいつ仕組んでたんだよ。気付いてなかった?』
完全に戦う気力をなくした俺は、そこにあったソファーに腰掛け、無言で続きを促した。
『あの飲み会の帰り、私達に先に2人でタクシーに乗り込むように指示したの、あのプロデューサーだったでしょう?』
そう言われてみれば、そうだったかもしれない。
『でも男女のタレントが2人きりでタクシー、なんて、撮られたら危険すぎるって、私マネージャーに別に帰れるように手配してって頼んだのよ。
でも、自分もすぐ行くから大丈夫ですとしか言わなくて…』
なるほど、つまりあの写真はたまたま、撮られたわけではない。
「…全部最初から仕組まれてた、ってことか。」
パパラッチにカネでも握らせて、待たせておいたんだろう。
そりゃあ、やたら綺麗に撮れてたわけだ。