オトナの事情。
控え室に戻った俺は、もう、居ても立っても居られなくて。
「…ユキ!」
思いっきり、そこにあったイスを蹴飛ばした。
足先に伝わる痛みが、いやにリアルで。
「……くっそぉ…」
力尽きたようにその場にしゃがみこむ。
涙がボロボロ溢れ出て、俺の足元を少し濡らした。
「…やっぱり、俺の、片想いだったんだよなぁ。」
本当は、ずっと、どこかで期待してたんだ。
ルナは、俺を選んでくれるんじゃないかって。
俺のところに、来てくれるんじゃないかって。
でも、気付いている自分もいた。
…最初からずっと、俺の、片想いだったんだって。