オトナの事情。
『そかそか、じゃあコンちゃんの分だけ後で温めるとして……って、え?』
いそいそとキッチンに戻ろうとするルナを引き止め、今度は俺が、後ろから抱きつく。
『…おーい、ユキ君?どうしたの。』
「んー…もうちょっと。」
この時間からメンバーで集まったら、どうせ朝までコースだろ?
「…みんな来たら、絶対イチャイチャできないじゃん。」
俺だって、時間の許す限り、ずっとルナに触れていたい訳で。
『もう~。今日のヒロユキ君は甘ユキなの~?』
「甘ユキ言うな。」
『えへへ、甘ユキ~あまあま~♪』
…この野郎、自分だって満更でも無いくせに。
言いたい放題言わせておくのもなんだか悔しくて、不意打ちでチュッ、とうなじにキスを落とす。
『ひゃあっ!』
「ハハッ、生意気な奴にはお仕置きだ。」
『んー!もう!』
やっとこっちを振り返ったと思いきや、ぷりぷりと怒ったその顔も、またかわいい。
…俺、重症だな、これ。
なんて思うより早く、今度は唇にキスしていた。
『ちょっと!怒ってるの、私!分かるでしょ!』
「分かるよ。」
『じゃあなんでチューするの!』
「えー、だってかわいいんだもん。」
『何言ってんの!キモいよおっさん!』
「は、おま…」
おい、俺、まだ33だぞ?
おっさん?
キモい?
え?
チュッ
割と大きなダメージを受け、軽く放心状態の俺に、今度はルナからキスをする。
『…でも好き!ばか!ばかユキ!』
…いや、意味が分かんねえよ。