オトナの事情。
『何、そんな風に思ったの?違う違う!…私、実はさ、持ってる服ほとんどメンズなんだよね~』
「へ?」
『ほら、スタイルが良いから女物の既製服だとサイズ合わないんだよ。』
「うわ、自分で言ったよ。」
『別に、隠せることじゃないしー?』
確かに、日本を代表するスーパーモデルなだけって、背も高い。178ある俺にも引けを取らないし、メンズの方がサイズが合う、と言われれば納得だ。
抜群のスタイルとルックスなのに愛されるのは、敢えて自分でそんな風に言ってしまうような、飾らない性格のお陰なのかもしれない。
『てかユキ君も着れるんだったら、好きに着ていいよ。あとでクローゼットに連れてってあげる!』
「いや、別にいいよ、そんな。」
『いいじゃんいいじゃん!ユキ君元々オシャレさんなんだし。昔からね、貰えるものは貰っておきなさい、使えるものは使いなさい、貸せるものは貸しなさい、って言われて育ったの。だからユキ君も借りときなさい。』
「…ははっ。はいはい。」
なるほど、そういうお母さんに育てられて、この自由の塊が生まれたわけだ。1人で妙に納得してしまう。