オトナの事情。
「俺はてっきり、元カレの残してった服だと思ったよ。」
こいつにつられて、なんだか俺もよく喋ってしまう。
思えば、誰かとわいわい食べる朝食なんて、いつ以来だろう。
『はー?ユキ君面白すぎ。ていうか私、彼氏なんていたことないし!』
「ブフォっ」
突然の爆弾発言に、思わず咳き込む。
「え?!彼氏いたことないってことないでしょ?」
『いや、むしろここで嘘吐いてもしょうがないでしょ。』
「…嘘だろ」
『いや、だから本当だって!』
このルックスで?このスキルで?男が放っておく?マジかよ。
「…え、じゃあ何、こんな広い家、ずっと1人で住んでんの?」
ここも元々二人暮らししていた、とかだと勝手に思い込んでいた。
『そうだよー、ずっと1人だよ?まあ…広すぎるなーとは思ってたけど。』
「あー…御両親金持ちなんだ?」