オトナの事情。






『でももう、私は知ってるもんねー!』



「へ?」



ニヤニヤしながら、ルナは言う。




『ユキ君だってちゃんと、子供みたいに熱くなって、ゲームするんだもんね?』


別にテレビでも、熱くなればいいのに。







なんて言いながら、今度は俺たちのCDをかけ始める。




「…恥ずかしいからやめてよ。」


やたらと音質のいいスピーカーから自分の歌声が流れるのは、やっぱりこそばゆい。





『…でも私、本当は、ユキ君の声の方が好きなんだー。』


俺の話には聞く耳を持たずに振り返るルナは、何故か、困ったように笑っていた。





『…悲しい恋の曲が、良く似合う。』










多分それが、俺がルナとの叶わぬ恋に落ちてしまった瞬間。



そしてその悲しい結末も、ルナだけが知っていたんだ。


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