オトナの事情。
『ただいま~!ユキ君もう帰ってるー?』
ルナは、朝からドラマの撮影に雑誌の取材にと、キツキツのスケジュールをこなして来たとは思えないほど元気に帰って来た。
「…おかえり。」
明日の撮影分の台本に目を通していた手を止めて見上げると、おかえりなんて久しぶりに言われた、と笑う。
『ごめんね、すぐにご飯用意する!』
「いや、俺今日早かったからさ、簡単なものだけど用意したんだけど…」
なんとなく恥ずかしい気持ちをグッと隠してそう伝えると、ルナはただでさえ大きな瞳をまん丸にして驚く。
『え!ユキ君がお料理したの?!』
「まあ、味の保証はないけど…ごめん、キッチン勝手に使っちゃった。」
『ううん、そんなの全然良いよ!!!!え、すっごい嬉しい~ありがとう!』
まだ食べてもいないのにそんなに喜ばれると、素直に作って良かったと思える。
「すぐに食べる?温めるけど。」
『うん!お願い!』
コート脱いでくる、とクローゼットに向かったルナを見送ってキッチンに向かう。