オトナの事情。
『…でもユキ君、さすがだね。』
俺の気持ちも知らないで、ルナは話を続けるんだ。
『グリンピース入ってないよ、これ!』
あはは、なんて笑って、ごちそうさまでした、と食器を下げに行く。
…あーあ、俺もつくづく簡単な男だよ。
俺がグリンピース嫌いなのとか、朝食はごはん派だとか、そんなこと知ってくれてたんだって、それだけで、なんかもう、びっくりするくらい嬉しいんだよ。
…いやいや相手は、ただの、ファンなんだから。
他意はないぞ、と自分に言い聞かせる。
それでも
『ユキ君ニヤニヤしてるけどどうしたの?』
「んー?いや、別に…思い出し笑い。」
やっぱり、少し、嬉しい。