オトナの事情。
「それやんな!さっきの取材中もよう喋るなぁ思っとったわ~」
健ちゃんまで加わる。
「いや、最初は俺らもめちゃくちゃ心配してたんだよ?いくらプロモとはいえやり過ぎだろって思ったし。でも、ユキ、アリだと思い始めてるだろ、ルーナちゃんのこと。」
鋭いのはいつも隼人さん。
「…そんな、別に。まあ一人暮らしよりは、誰かが家にいる方が会話もあるし、そのせい、かな。」
…完全なる俺の片思い、だなんて。
知られたら、恥ずかしすぎて死ねる。
「次の仕事、ルナちゃんと一緒ですよね?」
と コンが言うのと、俺のケータイが鳴るのが同時だった。
「ん、ごめん。出るわ。
…もしもし?…うん。いや、もう局の駐車場まで来たよ。……別にみんな暇してるだろうからいつでも良いよ。…えー、めんどい。…ははっ、はいはいはい。………ん、待ってる。
…あー、なんかハザマさんがうちの楽屋に挨拶に来たいって言ってて…」
と電話を切って顔を上げると、ニヤニヤした4人の視線が俺に集まっていた。
「え?何?」
驚いて聞いても、皆、べつにー?なんて言うだけで。
「おいおい聞いたかー?」
「いやー、ユキが、ねえ~?」
「“…ん、待ってる”。」
「「「「「あはははははっ」」」」」
車内には、俺のマネと冷やかしの笑い声が響く。
…ああー、もう。
なんで俺がこんな恥ずかしい思いしなきゃいけないんだよ、くそ。