オトナの事情。
「るーなは今内のファンやんな?」
『そうなんです!大ファンで!…御本人の前で恥ずかしいんですけどねっ』
収録が始まり、予想通り際どい質問ばかりされるものの、ルナも俺も、他のメンバーも、慎重に答えていた。
俺は内心ヒヤヒヤしていたが、ルナはニコニコしながら卒なくこなすので、むしろ俺まで同棲してるのが嘘なんじゃないかと思ってしまう。
…大した女優だよ。
「そんでも、なんや、向坂とイチャイチャして、その辺どう思ってるん?」
そんな質問に、スタジオからはキャーッと悲鳴に似た歓声が湧く。
「いや、ドラマの話やで!ドラマの。」
意味深に付け足すのが、ワザとらしいよな。
『えー…え、言わなきゃダメですか?』
「え、何、なんか言えへん事情あんの?!せやったら、それは、なあ?無理に言わす訳いかんけど…」
『いやそういうことじゃないんですけど!』
「…けど?」
『私の役はコウサカさん演じるアラタ君の思わせぶりな態度にひたすら翻弄される女の子なので…本当に好きになっちゃわないように気を付けてるんです。うふふ。』