オトナの事情。
「言おうかとも思ったんだよ?悠二に彼女いるって。でもさ、あんなに純粋に、ファンとして、悠二のこと応援してるの毎日見てるとさ…」
確かに、コンちゃんの言う通り、俺にはチャンスかもしれない。
それでも。
「…笑ってて欲しいんだよ。俺のこと、好きじゃなくても。」
だって、ルナの笑顔を見てると、もうそれだけで良いような気がしてくるんだ。
「ユキさん…」
「なに。」
「ピュアっすねぇ~」
コンちゃんはケラケラと笑った。
「ツアーやれば120万人も動員するようなミリオン歌手が、8個も下の女の子相手にそんなに振り回されてるとはねー!みんな夢にも思いませんよ。」
「うるせー。」
俺は応援してますよ、なんて言われて、柄にもなく少し喋りすぎたな、と後悔した。