オトナの事情。
「こんにちはー…」
そんな話をしているうちに、悠二の彼女さんは楽屋にやってきた。
こんにちは、なんて、いかにも業界人じゃありません、という感じの彼女は、悠二に駆け寄って何か話している。
「誕生日なんだとか。おめでとうございます。」
「あ、ありがとうございます…!」
声をかければペコペコとしていて、緊張しているのだろうか。
誰にでも明るく声をかけまくるルナとは正反対だな、なんて、無意識にルナと比べてしまう自分は、重症だ。
そしてついに、
『おはようございます!』
ルナが、BLUEの楽屋の扉を開いた。
「…ルナ、」
俺は何故だか、反射的にルナの手を引っ張ってしまった。
『え、ユキ君?どうしたの?』
「…なんでもないよ。」
自分で、悠二の彼女だよ、なんて、紹介する勇気も無いくせに。