オトナの事情。
『私、ユウジさんの大大大ファンなんですよ!最近ご一緒する機会が多くて幸せだな~なんて思ってたのに、彼女さんにまでお会いできるなんて…!お誕生日なんですね!おめでとうございます!
は~、でもやっぱりユウジさんの彼女さん、めちゃくちゃ美人だ~!』
「いや、そんな…!ありがとうございます!
あの、るーなちゃん、生だと雑誌で見るよりもさらにかわいくてびっくりしてます…!それに、るーなちゃんとヒロユキ君の方が、美男美女でずっとお似合いで…」
彼女に悪気はないんだ。
それでもやっぱり、楽屋はなんとも言えない空気に包まれてしまう。
悠二もどうしたものかと苦い顔をしたが、今更、俺たちの報道は嘘だとバラすわけにもいかない。
メンバーも、どうにかしようとは思ってくれてはいるんだろうが、もう事情が複雑すぎて、誰がどう動くのが正解か分からなくなっていた。
その時、
『え~、そんなこと言われると照れちゃうよね、ユキ君!』
うふふ、なんてテレビ用の笑い方で、さっき俺が引っ張ったその手を、俺の腕に絡めた。
…ああ、お前は本当に、強い女だよ。