オトナの事情。





『ねえユウジ君の彼女!すっごい美人さんじゃない!びっくりしちゃったよ~!』




ルナは部屋を出たのにまだニコニコしているから、なんだかもう堪らなくなって、思わずギュッと抱きしめた。





『ちょっとユキ君?ここも人通るよ。』


「いいから。」


『えー?何が良いのよー。もう。』



「…俺には、そんな強がらなくて、いいから。」





彼女の身体に回した腕にさらに力を入れれば、苦しいから離して、なんて言うんだ。



『…あのね、なんか勘違いしてるでしょ?私は、ユウジ君の、ファンだから。だからね、彼女さんの隣で幸せそうなユウジ君見れるの、嬉しいんだよ。』



「…嘘だ。」


『本当だよ。』


「…嘘だよ。」




強がって笑う顔なんてこれ以上見たくなくて、俺の腕から逃れようとするルナを、しっかりと胸の中に押し込めた。



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