オトナの事情。
自分達のステージを終え、舞台横にある出演者の席に行けば、俺の席はルナの横という指定だった。
番宣のため仕方がないにしても、ファンの声が直接聞こえるこの会場で並んで座るのは、ルナにとって気分の良いものじゃないだろうな。
先に座っていたルナは、俺たちに気付くとパッと表情を明るくする。
『もう本っ当にカッコ良かった~!ここから見れるなんて、特等席!』
目をキラキラさせて喜ぶルナに、皆はありがとう、とハイタッチをしてから席に着く。
『ユキ君もお疲れ様。カッコ良かったよ~!』
隣に座った俺にもそう声をかけてくれたが、こっちは、やっぱりまだムリをしてるんじゃないかと気が気ではない。
「…大丈夫?」
確かめるように顔を覗けば、
『うん。大丈夫。…ありがと。』
いつも通りのルナだ。