オトナの事情。
「なら、良かった。」
そう言って俺は、ルナの細い指に自分の指を絡めた。
強気にそんなことしてみたけど、やっぱり怒られるかな、と思ってルナを見れば、
『…ワイプ抜かれたらどうするの?』
なんて、自分の感情とは違うところに言い訳を探すから、
「そんなの今更、どうにだってなれば良いよ。」
絶対に離してやらないと、心に誓った。
そしたらルナは、何がおかしいのか突然笑い出す。
『ユキ君?』
「ん?」
『私、やっぱりただのファンだよ。』
それは昔、ポスターの中の悠二に向かって話しかけるルナに俺がかけた言葉。
『だって…隣で手を繋いで欲しいのは、ユウジ君じゃない。』
ねえルナ、それは、俺、期待しても良いってこと?
そう聞くまでもなく、もうほとんど通じ合っているのに、やっぱり臆病な俺は聞けなくて。
黙ってルナの肩に、頭を預けた。