オトナの事情。
なんとなく悠二には言えなくて、俺のことを応援してくれているらしいコンちゃんに相談したら、せめて暗くなってから行った方が良いんじゃないか、と言われた。
でも、初めてのディズニーシーだろう?
無理にでも早起きさせて、開園ダッシュしなくちゃ。多分それも、醍醐味じゃないか。
家の前に呼び付けたタクシーに乗りこめば、隣でルナは、ウキウキしながら何か調べている。
「何か乗りたいのとか、やりたいこととかある?」
うーん、と悩んで出したのは、
『いっぱい写真撮りたい!』
なんていう小学生みたいな答え。
「いやそうじゃないでしょ。」
『それも大切でしょ。だって私、ユキ君と写真撮ったの、ドラマの広告の時だけだもん。』
怒ったようにほっぺを膨らましながらこっちを見たルナに、そんな小さなことに気付かされる。
「…そういえば、そうか。」
『うん。』
「…言ってくれればいつでも撮ったのに。」
『だって別に、一緒にいるの、家と現場だけだし…撮る機会、なかったから。』
俺たちは、同棲しているだけで付き合っているわけではないから、やっぱりそういうところ、なんか変だ。