オトナの事情。
『あ、ユキ君、前の方進んでるよ!』
歩きやすいように、とスニーカーを履いて、いつもより少し小さめな背をピンと伸ばしてはしゃぐルナをみると、俺も周りの目なんて気にならなくなって来て。
「…ん、はぐれないように。」
押されるように前へ進む列の中で、ルナに手を差し出した。
ルナはえへへ、なんて照れたように手をとるから、なんだか俺も恥ずかしくなって来た。
いや、ここは、夢の国。
今日だけはそんなのも、きっと許されるはずだ。
だから俺は、今日、言うしかないんだ。