オトナの事情。
『大きい地球~!』
「ルナそっち後で良いって…」
『いーから!』
開園ダッシュどころか、見るもの全てに心が奪われたように目を輝かせるルナは、ゲートを通って数秒のうちに足を止める。
『ユキ君、こっち向いて!』
繋いだ俺の手を引っ張って、ルナはスマホをインカメラにする。
地球をバックに写真を撮ろうとするので、シャッターボタンを押す瞬間、俺はルナの頬にキスをした。
『きゃっ!』
突然のことに驚くルナに、
「…これくらい許して。」
と、どうしても俺は弱気だ。
『もう。…ユキ君のバカ。』
なんて言いながら撮った写真を確認するルナは、少し頬を染めていて、俺のこと、ちょっとは意識してくれているのが嬉しい。
だってルナは、照れると必ず、バカって言うんだ。
…ああ、これでなんで、付き合ってないんだよ。