オトナの事情。
ふと顔を上げると、数人がスマホをこちらに向けていた。
…これは、思ったよりまずいな。
さっき自分のした大胆な行動が急に悔やまれて、周りに気付かないルナに、もう行くぞ、と声をかける。
『うーん、ちょっと待っててね。…すみません!お姉さん!』
あーもう。
人の言うことを全く聞かずに、近くにいたキャストさんに声を掛け始めた。
『すみません!私、誕生日なの!』
ニコニコとした笑顔の正体がルナであることに気付いたらしいキャストさんは少し驚きつつ、
「…お、おめでとうございまーす!…えっと、お名前は…?」
誕生日シールとマジックを取り出しながら尋ねるキャストさんにルナは。
『うふふっ。狭間ルナです!』
今日一番の元気で応えた。