オトナの事情。
さすが教育の行き届いているディズニーだけあって、キャストさんは騒ぎ出したりしない。
でも周りからは、やっぱり!なんて声が聞こえて来た。
一方、胸に大きな名前シールを付けてご満悦なルナは、素敵な誕生日を!と声を掛けてくれるお姉さんに手を振りながら歩き出す。
…どれだけ地味な格好をしても、そんなにデッカく名前書いてちゃ意味がないだろうに。
先が思いやられる、とやっと動き出した途端、恐れていた事態が起きた。
「るーなちゃん!お誕生日おめでとう!ファンなんです!!!」
高校生くらいだろうか、女の子が、目に涙を浮かべて声を掛けてきた。
あーあ。
まだ地球儀の前だぞ?バレるの早すぎだろ。
…やっぱり、俺たちに普通のデートを楽しむのは無理があったな。
俺はガッカリしつつも、ここでちゃんと対応しなくちゃネットで変なこと書かれるし、と、その子の方に向き直った。