オトナの事情。
なのに、どうしたものか、と俺が悩む間もなく、
『きゃー!ありがとーう!21歳になっちゃった!うふふ。』
ルナはその子に、ギュッとハグしていた。
それどころか、その子の連れらしい他の女の子3人まで手招きして、同じようにハグしている。
『写真?もちろん良いよ~!ユキ君ユキ君、撮って!』
おいおいおい、人前でそんなに堂々と俺の名前呼びやがって。
あー、もう。
なんで躊躇いもなく、そんなに喜べるんだ。
仕事中でもないのに、応える必要無いのに。
嫌だとか、そんなの、一瞬も見せないで。
「…分かったって。ケータイ貸してくれる?」
「…!ありがとうございます!」
「え、あの!!!BLUEのヒロユキ君ですよね?!応援してます!」
ルナのファンだというその子達が、あまりにも嬉しそうで。
「…ありがとう。」
俺も、握手なんてしてしまう。
写真を撮った女の子達を見送って、俺に、嬉しいね、なんて微笑むルナには、きっと一生敵わない。