オトナの事情。





「すみません、私も写真撮って欲しいです…!」

「すみません!」




その様子を見た人達が大勢写真を撮って欲しいと言ってきて、もちろんルナは、嬉しそうに応える。




「ねえ、ちょっとカメラ頼んだ!」


一緒に来ている彼氏さんにケータイを渡そうとする人がいれば、


『いいよいいよ!ユキ君が撮ってくれるよ!ほら彼氏君もこっちおいで!』


なんて、勝手に人を使うし。




結局ルナは10組以上と写真を撮って、俺も数枚頼まれた。



ちなみに、未だ、地球儀の横。



「…全く。これじゃルナがミッキーじゃんか。」



やっと列が途切れたところで、今度こそタイミングを逃すものかと、ルナの手を引っ張って歩き始める。


ほんとだね~なんて笑うルナは、繋いだ手を自分に少し引き寄せて、ごめんね?と俺の顔を覗き込んだ。



『大丈夫!今日はユキ君とも、いっぱい写真撮るからね!』




その笑顔は心なしか、さっきファンに対応していた時よりも嬉しそうだったから、それで許すことにした。




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