彼と私のかくれんぼ
「はい。おやすみなさい」
『おやすみ』
優しい庄司くんの声を最後に、電話は途切れた。
高校時代から誰にでも優しくて、素敵な庄司くん。
未だになぜ私と付き合ってくれているのか、時々不安になることもある。
始まりは庄司くんの告白だったけど、七年たった今、きっと私のほうが好き度は増していると思っている。
明日からは久々に、庄司くんと長い間一緒に過ごす休日を迎えられる。
それが楽しみでたまらない。
忘れ物がないかもう一度確認した後、私はベッドに入って体を横たわらせた。
目をつぶって眠りの世界へ入ろうとするけれど、ワクワクが高まって、中々眠れそうにない。
年甲斐もなくはしゃいでるなあ、私。
クスッと、私はそんな自分に笑いかけながら、明日が来るのを楽しみにしていた。
そして翌朝。
「おはよう、紗英」
「菜穂子ちゃん、おはよう」
東京まで一緒に行く菜穂子ちゃんと、新幹線に乗る駅で待ち合わせた。
「フワアッ」
「珍しいね、紗英があくびなんて」
目ざとい菜穂子ちゃんが、すかさず私のあくびにツッコミを入れる。
「昨日、中々眠れなくて……」