彼と私のかくれんぼ
その名も『運命の糸大作戦』
どこかで聞いたようなタイトルのそのイベントは、内容もどこかで聞いたことあるようなもので、ふたつに割れたカードの片割れを持つ相手を、文化祭当日に見つけていくというもの。
しかもその片割れは、生徒全員が対象なので、顔くらいは知っているクラスメイトだけが相手じゃない。
クラスメイトでさえも、仲のいい人以外は上手に喋ることができない私が、別の学年の人とかに話しかけてカードの片割れを見つけていくなんて、すごい高レベルな行動を取れるはずがない。
そして問題は、片割れを見つけてからも続いていく。
相手が見つかったら、その相手と必ずひとつは文化祭の出し物を回らないといけないのだ。
場所は特には決められていないけれど、喫茶店を出しているクラスに行ってお茶をする、とか、体育館で開かれている演劇部の演目をひとつ観劇する、とかでもいいらしい。
ふたりでその場所に行ったよ、っていうことでカードに証拠のスタンプを押してもらって、最後に実行委員がいる場所に戻り、カードの照合とスタンプの確認が終わったら、そこでイベントは終了となる。
「でもさ、白石。辻井ってばホントに頑張ってるんだよ。そのカード、全部自作してるんだって」
リエさんの言葉に、私は目を丸くする。
「聞いた話だけど、辻井って将来、絵で生計立てれるようになるのが夢なんだって。で、今回のイベント思いついたのも、自分の絵をたくさんの人に見てもらうにはどうしたらいいのかなってところかららしいよ」
「そうだったんだあ」
目を丸くさせて驚いている菜穂子ちゃんの横で、ユーコさんが首を傾げる。
「そういやうちって、全校生徒何人?」
「確か、一学年百人だったから、三百人くらい?」
「すっご。じゃあ百五十枚、手書きしてるってこと?」
「そうみたいよ。えらいよね。だからさ、白石。そんな辻井の気持ちも汲み取ってやって、積極的にこのイベント参加してやろうよ」
バンバン、と私の肩を叩くリエさんに、私はジト目を向ける。
「……そりゃリエさんは、辻井くんの夢を応援したいよね。なんたって辻井くんのことす……」
「しーらーいーしーっ‼」
耳を真っ赤にしたリエさんに、頬を両手で包まれる。
どこかで聞いたようなタイトルのそのイベントは、内容もどこかで聞いたことあるようなもので、ふたつに割れたカードの片割れを持つ相手を、文化祭当日に見つけていくというもの。
しかもその片割れは、生徒全員が対象なので、顔くらいは知っているクラスメイトだけが相手じゃない。
クラスメイトでさえも、仲のいい人以外は上手に喋ることができない私が、別の学年の人とかに話しかけてカードの片割れを見つけていくなんて、すごい高レベルな行動を取れるはずがない。
そして問題は、片割れを見つけてからも続いていく。
相手が見つかったら、その相手と必ずひとつは文化祭の出し物を回らないといけないのだ。
場所は特には決められていないけれど、喫茶店を出しているクラスに行ってお茶をする、とか、体育館で開かれている演劇部の演目をひとつ観劇する、とかでもいいらしい。
ふたりでその場所に行ったよ、っていうことでカードに証拠のスタンプを押してもらって、最後に実行委員がいる場所に戻り、カードの照合とスタンプの確認が終わったら、そこでイベントは終了となる。
「でもさ、白石。辻井ってばホントに頑張ってるんだよ。そのカード、全部自作してるんだって」
リエさんの言葉に、私は目を丸くする。
「聞いた話だけど、辻井って将来、絵で生計立てれるようになるのが夢なんだって。で、今回のイベント思いついたのも、自分の絵をたくさんの人に見てもらうにはどうしたらいいのかなってところかららしいよ」
「そうだったんだあ」
目を丸くさせて驚いている菜穂子ちゃんの横で、ユーコさんが首を傾げる。
「そういやうちって、全校生徒何人?」
「確か、一学年百人だったから、三百人くらい?」
「すっご。じゃあ百五十枚、手書きしてるってこと?」
「そうみたいよ。えらいよね。だからさ、白石。そんな辻井の気持ちも汲み取ってやって、積極的にこのイベント参加してやろうよ」
バンバン、と私の肩を叩くリエさんに、私はジト目を向ける。
「……そりゃリエさんは、辻井くんの夢を応援したいよね。なんたって辻井くんのことす……」
「しーらーいーしーっ‼」
耳を真っ赤にしたリエさんに、頬を両手で包まれる。