彼と私のかくれんぼ

地元にはないブラントのお店にチェックを入れていて、お店に入るや否や、次々とお目当てのものを手に取っていく。

「ああ、全部欲しいけど予算が足りないよ~」

頭を抱える菜穂子ちゃん。

「でも、限りある予算の中から一番を決めていく作業も楽しいと思わない?」

「確かに、紗英の言う通りだわ。ね、試着してもいい?」

「もちろん。菜穂子ちゃんの気の済むまでお付き合いするよ」

そう言って親指を立てると、菜穂子ちゃんはニッコリ笑って試着室へと入っていった。

「ねぇ、紗英。こっちとさっきのスカートなら、どっちがいいと思う?」

「私は今の花柄が好きかなあ」

「よし、じゃあ、こっち!」

そんな会話を繰り広げつつ、結局菜穂子ちゃんは花柄のスカートと、雑誌で読んで狙ってたというショート丈のコートを購入。

私も菜穂子ちゃんに選んでもらって、グレンチェックのジャンパースカートを購入した。

その後もウィンドウショッピングを楽しんでいたら、だいぶ辺りが暗くなってきていることに気づいた。

「紗英、ショージくんとの待ち合わせ大丈夫?」

菜穂子ちゃんに聞かれて腕時計を見ると、時間は午後六時過ぎ。

「うん。一応東京駅に七時なんだけど、庄司くんお仕事忙しいみたいで、少し遅れるかもって言ってたの。菜穂子ちゃんは? お友達と約束してるんでしょ?」

「私はそろそろ電車に乗らないとヤバイかも」

そう言いつつも、菜穂子ちゃんは私に心配のまなざしを向ける。

「私なら大丈夫だよ」

「でも東京駅とか、人多いし、ホントに紗英大丈夫?」
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