彼と私のかくれんぼ
そう言いながら笑う庄司くんの左手には、私の右手がしっかりと握られている。
こんな風にふたりで手をつないでのんびり歩くのは、夏に地元で会ったとき以来。
少しだけ照れくさくて、でも庄司くんの手のぬくもりが心地よくて、私は少しだけフワフワしながら一緒に歩いていた。
エレベーターで四階まで上がり、『庄司』と表札が掲げられたドアの前で立ち止まる。
初めて訪れる庄司くんの部屋の前、今まで忘れてた緊張が少しだけ体に戻ってきた。
「一応、見れる部屋にはなってると思うんだけど」
軽く笑いながら、庄司くんが玄関を開ける。
玄関には、スニーカーが一足出ていて、きちんと並べられていた。
「おじゃまします」
庄司くんの後に続いて、部屋に足を踏み入れる。
初めて見る、ひとり暮らしの庄司くんの部屋は、あまり物がなくシンプルな状態だった。
「あー。なんか、女の子部屋に上げるのって緊張するな」
「え? 誰も来たことなかったの?」
「当たり前だろ!」
少しだけ怒り気味の庄司くんに、私は素直に謝る。
「ったく。俺のこと、どんな奴だと思ってんだよ」
そう言いながら、庄司くんは照れくさそうにそっぽを向いた。
「ねぇ。庄司くん」
「ん?」
「……私も緊張してるよ。こうやって男の子の部屋に入るのなんて、初めてだから」