彼と私のかくれんぼ

面倒見のいいユーコさんは、友達の楽しかったことも悲しかったことも一緒に共有して飲みこんでくれる。

きっと今回のことも、遅れて報告したら早く言ってほしかったと言うに違いない。

「それなら大丈夫だよ。ほら」

そう言って辻井くんが私たちの目の前に差し出したのは、自分のスマートフォン。

画面にはユーコさんとのやり取りが表示されている。

「こういうことは早めに知らせておいたほうがいいかと思って、ショージの同期の子たちが来た頃から密かに実況してたんだ」

「さすが辻井くん」

菜穂子ちゃんが感嘆の声を上げる。

「でもね、さっきまでかなりの速度で返事が返ってきてたのに今ちょっと止まってんだよね」
と、辻井くんが言い終わるくらいに彼のスマートフォンが震え出す。

表示されたのはユーコさんからのメッセージ。

『ショージと白石におめでとうって言っておいて。私はこれから分娩室行ってくるー!』

「ん? 分娩室?」

「……それって、もうユーコさん、病院にいるってことじゃない?」

「自分も大変なときに、こんなにヒロとやり取りしてたわけ? さすがだなあ、ユーコ」

ケラケラと笑うリエさんにつられて、私たちも笑顔になる。

「俺たちのことよりも、ユーコからの報告を聞く方が楽しみになっちゃったな」

「そうだね。とにかく元気に産まれてきてほしいね」

私と庄司くんが笑いあっていると、ポン、と辻井くんが庄司くんの肩を叩いた。

「さ。ふたりはそろそろどこかに出かけてきたら? ずっとここにいてももったいないよ」

「そうだよ。私と住吉も、夕方集まるまで出かけてくるし」
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