彼と私のかくれんぼ

開けると、ユーコさんからのメッセージが一通。

『白石、元気? 相手見つかった?』

『見つかってないよ』

私が返信をすると、間髪入れずに返事が返ってくる。

『ところで白石のカード、どんな絵なの?』

『誰かわからないけど、武将っぽい。ちょんまげあるし』

『ちょんまげ(笑)そうなんだ。ところで今、どこにいるの?』

『図書室』

『そ。頑張ってね』

私が返さなかったから、ここでユーコさんとの会話は終了。

思えばここは図書室。スマートフォンは操作したらいけなかったんだった。

「ま、誰もいないし大目に見てください」

心の中で謝って手の中にあるスマートフォンを見ると、まだ時刻は十二時。

イベント終了まではあと三時間もある。

はぁ、どうしよう。

そういえばもうお昼。お腹空いたなあ。

意識がそっちに向くと、空腹を思い出したらしい私の体から、クウッ、と小さな音が鳴った。

食欲には勝てないな。

私は小さく笑って立ち上がる。

一度腹ごしらえをしてから、また隠れに来よう。
< 6 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop