彼と私のかくれんぼ
開けると、ユーコさんからのメッセージが一通。
『白石、元気? 相手見つかった?』
『見つかってないよ』
私が返信をすると、間髪入れずに返事が返ってくる。
『ところで白石のカード、どんな絵なの?』
『誰かわからないけど、武将っぽい。ちょんまげあるし』
『ちょんまげ(笑)そうなんだ。ところで今、どこにいるの?』
『図書室』
『そ。頑張ってね』
私が返さなかったから、ここでユーコさんとの会話は終了。
思えばここは図書室。スマートフォンは操作したらいけなかったんだった。
「ま、誰もいないし大目に見てください」
心の中で謝って手の中にあるスマートフォンを見ると、まだ時刻は十二時。
イベント終了まではあと三時間もある。
はぁ、どうしよう。
そういえばもうお昼。お腹空いたなあ。
意識がそっちに向くと、空腹を思い出したらしい私の体から、クウッ、と小さな音が鳴った。
食欲には勝てないな。
私は小さく笑って立ち上がる。
一度腹ごしらえをしてから、また隠れに来よう。