君想ふ花
お店を出ると外は少し寒くなっていた。
「なつみは将来どんなことがしたいん?」
「私、バリバリのキャリアウーマンになって、
会社とか作りたいって思ってたんですよね。
まあでも正直、最近はよくわからないです(笑)
ブライダルもすごく楽しいし、やりがいがあるし・・・
このままブライダルの道に進むのもありかなあーって。」
「そうなんや!
実は俺も起業したいってずっと思っててん。
だから、いろんな仕事にチャレンジして、勉強してるんよ。
まあでも悩むよなあ。
ほんとここは人もいいし。
色々仕事して来たけど、こんな職場めったにないで。」
龍さんはそこから、起業を決心したときの話や
将来やりたいことをいろいろと話してくれた。
「〜〜〜。
それで、だから5年後くらいには自分の会社作りたいねん!
ってごめん、こんな話おもんないよな。(笑)」
「いえ、おもしろかったです!
龍さんチャラそうに見えるのに、こんなこと考えてるんだ、
すごいなあって思っちゃいました!(笑)」
「なんやそれ!
喜んでいいんかわからんわ!(笑)
今日はありがとうな。
楽しかった!また今度どこか行こうや。」
「私も楽しかったです。
龍さんの意外な一面見れましたし。(笑)
また誘ってください。」
「お、ほんまやな?!
こういうのは早めに予定立てへんと行かんねん。
来週の金曜日の昼間からは?
俺、オフやねん。」
え、まさかの。
社交辞令くらいの気持ちで軽く返事をしてしまったことに
少し後悔をした。
まあ社員さんだし、何もないんだけど・・・。
ちょっとだけ翔太に悪い気がしてしまう。
「空いてるんですけど、
二人はちょっと彼氏に悪い気がして・・・。」
龍さんには申し訳ないが、正直な気持ちを話した。
「彼氏も浮気しとったんやろ?
それも夜お泊まりやろ?
昼間1回遊びに行くくらい、フェアや!(笑)
これでスッキリしたらいいねん。」
「たしかに、そうですね!」
「じゃあ、決まりな!
またラインするわ。」
龍さんの言葉に乗せられてOKしちゃったけど・・・。
まあ一回くらいならいいよね。
でも言わないで行くのは逆にやましいかも。
翔太にいうだけいっておこう。
帰りの電車、私は翔太にラインを入れた。
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TO:翔太
来週の金曜日、社員さんに誘われて
遊びに行くことになったんだけど、
私の相談役だから面倒見てくれてるだけだから、
心配しないでね!
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送信っと。
まあ、心配なんてしないんだろうけど・・・。
季節外れの寒さに震えながら
私は家路を急いだ。