君想ふ花
翔太の気持ち
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1年半前の夏。
俺となつみは出会った。
ミーンミーンミン・・・
「あっちぃ・・・。」
ったくなんでこんな暑いんだよ。
バイトが休みの日くらい、もう少し寝かせてくれよ・・・。
プルルルル プルルルル
ん?電話だ。
寝起きだっつーのにタイミング悪いなあ。
「もしもし。」
嫌々ながら俺は電話に出た。
「っちょ!翔太?!
あんた今どこにいんのよ???」
ん?いま?
えーっと昨日飲み会で潰れて・・・
たしかそのまま・・・あ、そうだ。
下宿してる友達の家に転がり込んだんだった。
「今は友達んちだけど?
華こそどうしたんだよ、そんなに急いで?」
まあ、いつもこいつはこんな感じで慌ただしいんだが。
「なに言ってるの?!
今日、合宿の日でしょ?
あんた、幹事なのにいなくてどうすんのよ!!」
「・・・」
こんな真夏にも関わらず
俺の体は寒気を感じた。
「わり、すぐ用意して直接旅館行くわ。」
そう言って電話を切った俺は
お世話になった礼も言わず家へ急いだ。