君想ふ花
「なつみ、ここで写真撮ろうや」
「えー、こういうの好きなんですか?(笑)」
龍さんが指を指したのは
サファリパークの目の前にある古びたパンダの像だった。
「いや、別に好きちゃうねんけど。
なつみとせっかく来たし、記念に残したいなー思て。」
え、うれしい。
まさかの答えに私は少し恥ずかしくなった。
「ほら、こっちきーや」
そういって龍さんは私を自分の方に抱き寄せた。
《パシャッ。》
屈託のない笑顔で笑う龍さんと
驚き、口を開いたままの顔の私。
皮肉にもこの写真が私たちの初めてのツーショットだった。
「やばい、これ私の顔がひどいー(笑)」
「いいやん。そういう顔も含めて思い出やで。(笑)
ほら、早よ行くでー」
落ち込む私をよそに、龍さんはサファリパークの中へ進んでいった。