抱き締めたら止まらない～上司の溺愛につきご注意下さい～

…それから間もなくして、携帯のアラームが鳴り、起き上がると、さっきの事は口に出さないまま、リビングに向かうと、まだラフな格好をして、コーヒーを飲みながら、新聞を読んでいる藍原がいた。

「髪が下りてる」

…おはようございます。そういうつもりだったのに、いつもと全然違う髪型の藍原に驚いて、思わずそんな声をかけてしまった。

「ぇ？あ、あー。まだ身支度前だからな」

そう言って、フッ口角を上げた藍原に、更に驚く。

「部長って笑うんですね」
「…俺をなんだと思ってる？一応れっきとした人間なんだが」

「…ですよね。すみません、あ、おはようございます」

改めて、朝の挨拶をする。

「ぁ、おはよう。身支度をするなら、洗面所にタオルを置いてあるから」
「ありがとうございます。使わせていただきます」

軽く会釈すると、私は身支度へ向かった。

身支度を済ませると、二人で朝食を作り、二人で食べた。

出社は別々にしようと言うことで、私は電車、藍原は車で会社に向かった。