抱き締めたら止まらない~上司の溺愛につきご注意下さい~
オフィスに戻ると直ぐ、光は岡崎さまに電話を入れ謝罪した。そして、今後の事を話し、電話を切った。

…やっと、化粧室から戻ってきた私に、光は直ぐに謝罪した。

「迷惑をかけてごめんなさい」
「いえ、そんな事…早乙女さんは、とても忙しい方なんですから。間違いの1つや2つ」

「それは違うよ。こんな間違いあっちゃいけないことだから…岡崎さまが怒るのは当たり前だし、本当は、俺が謝罪しなければいけなかったのに」

「もう、終わったことですから。次からはお互いに気を付けましょう?私だって、毎日のように、藍原部長に叱られるようなミスばかり何で」

そう言って、苦笑すると、光はクスッと笑った。

「…ありがとう、明日香ちゃん」

そう言うと、お互い、パソコン操作を始める。

集中し始めた私に、光がポツリと爆弾を投下した。

「明日香ちゃん?」
「…なんですか?」

「今夜、食事に行こう」
「…?!」

私は驚いて、打ち間違えた。

それを慌てて消すと、光に視線を向ける。

「嫌々、無理です」
「なんで?」

「早乙女さん、自分がどれだけ人気か知ってます?」
「え?人気あったっけ?」

本人は、全く気づいていないらしい。

私はため息をついた。

「女子社員からの絶大の人気を誇る早乙女さんと、食事になんて行ったら、いじめの的になりますから」

「そんな大袈裟な」
「大袈裟なもんですか。少しは自覚してくださいね、早乙女さん」

私は再びパソコン操作を始める。

「…いや、そんなことは認めない。でももし、明日香ちゃんが苛められるようなことがあったら、守る自信はあるから…という事で、終業後は空けといてね」

「え、え?!あ、早乙女さん、」

…外回りにいってしまった。

どうしよう。断れなくなった。
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