抱き締めたら止まらない~上司の溺愛につきご注意下さい~
…再び、藍原のマンションに帰ることになるとは思わなかった私は、困惑していた。

正直、私は今、藍原に惹かれ始めている。

引っ越し費用が貯まるまでとはいえ、このまま藍原を好きになってしまったらどうしよう。

藍原は何度となく、私を好きだと言ってくれてはいるが、いつどこでそんな気持ちが無くなってしまうのかと思うと、なんだか怖くてたまらない。



「渡辺」
「はい?」

「どうしてもここで寝るのか?」
「ん?当たり前じゃないですか」

「しかし、ここはリビングだぞ」
「大丈夫ですよ。私は気にしません。こうやってお布団だって、うちから持ってきたんですから」

そうなのだ。ベッドの上にひかれた布団一式、藍原の車で運んできた。

藍原は、私をベッドに寝かせたかったらしいが、もちろん私は断った。だって、何日ここにお世話になるかもわからないのに、藍原にずっとソファーで寝てもらう訳にはいかない。

藍原は営業部にとって、大事な人材だ。体を壊してしまったら元も子もない。

「俺がそこに「寝かせませんよ」」

まだ言い張るので、キッパリそう言えば、藍原は観念したように、寝室に入っていった。
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