抱き締めたら止まらない~上司の溺愛につきご注意下さい~
遅い夕食を終え、片付けをし、それぞれお風呂に入り、私は何時ものようにリビングに布団を敷いた。

布団に潜り込むと、携帯のアラームをセットした。

「…渡辺」
「…どうしました?」

少しだけ体を起こしたが、藍原に止められた。

「直ぐ済むから、そのままでいい」
「…はい」

また、布団に入ったことを確認した藍原は、話始めた。

「来週1週間、専務と一緒に出張に行くことになった。」

「…え?専務とですか?」
「あぁ、大事な仕事だから、もしかしたら延びるかもしれない」

「そうなんですか。頑張ってくださいね。この家は心配無用です。私がちゃんと留守番してますから」

「あぁ、頼むよ。…それでな」
「藍原部長?」

「帰ってきたら、大事な話がある」
「大事な話…」

私は怖くなった。

帰りに見た藍原と、専務秘書のこと。

専務と一緒に出張に行くこと。

それらはもしかしたら、全て結び付いていて、結婚というゴールが待っているのかもしれないと。

藍原部長だって、適齢期だ。専務秘書とそういうことになれば、出世だってあり得る。

…1週間後。

私は、藍原の傍にはいられなくなるかもしれない。

「渡辺、どうした?」
「ズズ…何でもありません。おやすみなさい」

泣きたくなったが、我慢した。
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