抱き締めたら止まらない~上司の溺愛につきご注意下さい~
「さっさとしろ、渡辺。営業は一分一秒が勝負だぞ」
「え、あ、はい!」
私はパソコンの電源を落とすと、鞄をひっつかみ、先に行く藍原を走って追いかけた。
…。
疲れた。足が棒だ。営業は大変だとは聞いていたが、想像を遥かに越える。
得意先を歩き回り、営業しながら、製品の評判や使い勝手の良し悪しを聞いて回る。
気がつけば、一時を回っていて、横断歩道が赤になり、止まったところで、私のお腹が大きな音で鳴った。
恥ずかしい。穴があったら入りたいとはこの事だ。
私は赤い顔を見せまいと顔を下見向ける。
「…ぷ」
横で笑い声?
私は恐る恐る顔をそちらに向けた。
口に手を当てて、笑いをこらえている藍原。
それがなんとも言えない顔で、私はムッとする。
「…悪い、もうこんな時間か。飯食うか」
「え、ぁ、はい」
もう、笑っていない。藍原は、近くの定食屋に入っていく。私はそれを追いかけて、中に入った。
勝手に同じ唐揚げ定食を頼まれて、私は困惑する。
少食の私にはこれは多すぎる。
どうしたものかと思い悩んでいたら、パッと思いついた。
「え、おい、渡辺?」
私は唐揚げを半分藍原の皿の上にのせた。当然、藍原は面食らった顔をする。
「私、少食なので、食べてくださると助かります」
それだけいうと、ニコッ笑顔を張り付けて、先に食べ始めた。
「ったく、仕方ないな。」
藍原は観念したようにそう言って、食べ始めた。
「え、あ、はい!」
私はパソコンの電源を落とすと、鞄をひっつかみ、先に行く藍原を走って追いかけた。
…。
疲れた。足が棒だ。営業は大変だとは聞いていたが、想像を遥かに越える。
得意先を歩き回り、営業しながら、製品の評判や使い勝手の良し悪しを聞いて回る。
気がつけば、一時を回っていて、横断歩道が赤になり、止まったところで、私のお腹が大きな音で鳴った。
恥ずかしい。穴があったら入りたいとはこの事だ。
私は赤い顔を見せまいと顔を下見向ける。
「…ぷ」
横で笑い声?
私は恐る恐る顔をそちらに向けた。
口に手を当てて、笑いをこらえている藍原。
それがなんとも言えない顔で、私はムッとする。
「…悪い、もうこんな時間か。飯食うか」
「え、ぁ、はい」
もう、笑っていない。藍原は、近くの定食屋に入っていく。私はそれを追いかけて、中に入った。
勝手に同じ唐揚げ定食を頼まれて、私は困惑する。
少食の私にはこれは多すぎる。
どうしたものかと思い悩んでいたら、パッと思いついた。
「え、おい、渡辺?」
私は唐揚げを半分藍原の皿の上にのせた。当然、藍原は面食らった顔をする。
「私、少食なので、食べてくださると助かります」
それだけいうと、ニコッ笑顔を張り付けて、先に食べ始めた。
「ったく、仕方ないな。」
藍原は観念したようにそう言って、食べ始めた。