溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
(……片瀬くん?)
話の流れが変わったように感じ、今度は優花が片瀬の顔を覗き込む番だった。
「さっきの同窓会で、滝口と親密そうにしているのを見過ごせなかった。優花が困っているからじゃなく、俺が嫌だったんだ」
片瀬がなにを言っているのかわからない。どうして片瀬が嫌な思いをするのか。
「優花……」
喉の奥から絞り出すような、切羽詰まった声だった。そんな声で名前を呼ばれ、胸が苦しい。
頬に伸びてきた片瀬の手の冷たさに、優花の肩先がビクッと揺れる。
片瀬は、優花の両頬をその手で包み込み、艶めく瞳で見つめた。
手の冷たさと裏腹に、優花の心が焼けつきそうになる。
「好きなんだ。……優花のことがたまらないほどに」
思いがけない告白だった。
片瀬がそんなふうに想ってくれていると誰が考えようか。