溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

てっきり倉田がここで車から降り、カフェかどこかで話をするのかと思ったが違うようだ。

言われるままにドアを開け、助手席に乗り込む。ところが、優花がシートベルトを着用しようとすると、「その必要はありません」と止められた。

(……え? しなくていいの?)

どういうことかと思えば、倉田は「この場ですぐに済みますので」と言う。即座にエンジンが止められた。


「早速ですが、お話したいことは、ほかでもなく片瀬のことです」


優花が予想していた通りだった。
倉田は運転席で前を向いたまま切りだす。


「……なんでしょうか」


わざわざこうして優花を訪ねてきたのだから、よほどのこと。片瀬にもなにも言わずにここへ来たのだろう。
それがわかるからこそ、優花にとってそれがいい話でないことは予測がついた。

倉田の口からなにが飛び出してくるだろうかと、優花は緊張を余儀なくされる。
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