溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「……片瀬くんがそれを望むなら」
自分でも愚かだと思う。引導を渡されたも同然だというのに、片瀬のそばにいようとするのだから。
愛されていなくても、一緒にいられるのならそれでいいと思ってしまった。
(出ていってほしいと言われたのならまだしも、少なくとも今の片瀬くんは私を必要としてくれているんだから)
倉田は大げさにも思えるほどに深いため息をついた。
「あなたには失望しました。もっと聡明な方だと思ったのですが、私の見当違いだったようです」
倉田の言葉が、優花の胸に痛烈に突き刺さる。
倉田は「話は以上です」と言い、優花に車から降りるようにと左手をドアの方へ向けたのだった。