溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
◇◇◇
倉田が優花のもとを訪れてから三日が過ぎた。
片瀬に特別な変化はなく、これまで通りの態度で優花に接している。
しかし優花の方はといえば、倉田がもたらした話が心に暗い影を落としていた。
片瀬に甘く囁かれても、抱きしめられてキスをされても、どこかで完全に心を委ねることができずにいる。そこに愛がないと知らされただけなのに、それはとてつもなく大きな問題なのかもしれないと感じ始めていた。
初めて知った恋がこんなにも難しく、苦いものになろうとは考えもしていなかった。
「頑張ってるな、優花」
ダイニングテーブルで簿記の勉強をしていると、片瀬が座っている優花を後ろから抱きしめてきた。
「あ、うん……」
考えごとをしている時間の方が長く、目はテキストの文字の上を滑っていくばかり。頑張っているとは言い難い。